| オックスフォード英語大辞典物語 |
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口コミ・評価
残念。訳文さえまともなら。 (2007-09-09) 一口に「70年にわたる辞書作り」といっても、これは並大抵のことではない。実際に、『オックスフォード英語辞典』(OED)の編纂作業は二つの世紀にまたがっており、三世代にわたる専門家の根気と多数のボランティアの協力があって初めて成功したのである。これだけ多くの人間が編纂に関わっていると、逸話の数も膨大になるはずであるが、すでにそのうちの一つを取り上げた『博士と狂人』を書き上げた著者サイモン・ウィンチェスターは、プロジェクトの進行を見失わせることなく、何人かの特筆すべきボランティアの逸話を紹介してくれている。秀逸と評価できたはずである。もし訳文がこれほどひどくなければ。実際のところ、これほどの悪訳本にお目にかかったのは生まれて初めてである。ふつうは意気込んで原書を買って何ページか読んでいるうちに訳本が出版されてしまい、結局そちらを手に入れて用を足してしまっていたのだが、今回はその逆をやってしまった。あまりに訳文がひどいので意味を確かめるためにわざわざ原書を買ったしまったのだ。これも生まれて初めてのこと。原文に問題があるはずがない。著者は、『博士と狂人』、『世界を変えた地図』など十分な資料収集と学識に裏打ちされたノン・フィクションを書くことで定評がある。これら二つの作品の日本語訳(いずれも早川書房)は、どちらも読みやすく、内容に集中させてくれる。ところが、こちらはまったく内容に集中できない。昼間に狭い路地を歩くのだが、道は穴だらけで、両脇の家から不規則にいろいろなものが道路に突き出している状態を想像してほしい。もちろん、明るいので歩けなくはないのだが、一瞬たりとも気は抜けず、よそ見もできず、ひたすら路面、前方、自分の両側そして頭の上に気を配らなければならないのだ。なぜこのような翻訳書が世に出てしまったのか。訳者と出版社(言わずと知れた「辞書の」研究社)の見識を疑わざるをえない。良書であるはずだっただけにきわめて残念である。
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